脳の痛みを鎮めるセルフトレーニング(鎮痛脳リハビリ2)
「ポジティブ回路・脳トレーニング編」
人が行為を行う前に無意識に行っている思考パターンが、ふたつあります。
ひとつは、「○○しなきゃ」というネガティブ回路(苦痛系回路)。
もうひとつは「これをすると○○できる!こんなメリットがある!」という
ポジティブ回路(報酬系回路)です。
「○○しなきゃ」という思考は
「そうしないと○○になってしまう」という不安や恐怖がベースになっているので、
脳から心身を緊張させて戦闘モードにするノルアドレナリン、記憶力を低下させたり
鬱病になりやすくするコルチゾールなどのホルモン分泌を促し、痛みを感じやすく
します。
「○○できる!こんなメリットがある!」というポジティブ回路の思考は、
脳から安心感、幸福感、抗ストレス作用、記憶力増進、免疫力アップなどに関係する
オキシトシン、ドーパミン、セロトニン、βエンドルフィンなどの幸福ホルモンを分泌
させて、痛みを感じにくくします。
慢性痛は、脳の痛みを感じる神経回路が固定化し
健康な状態の時より痛みを感じやすくなっている場合があります。
心や体に対するストレスが、この痛み回路をますます強めるという悪循環の原因になります。
ここから脱出するために大変役立つのが『ポジティブ回路・脳トレーニング』です。
これは「思考パターンを、ネガティブ回路からポジティブ回路にひたすら切り替え続け
る」という脳のトレーニングです。
具体的には、日常的に無意識に思考しているネガティブ回路に注意を向けて、
ゲームのようにポジティブ回路に切り替えていきます。
ポジティブ回路(報酬系回路)のメリットは、自分の好きなもので結構です。
メリットを置き換えた語尾に「やったー!」と言葉を添えられるものにして下さい。
例えば、、
「起き上がらなきゃ (寝たきりになっちゃう)」
⇒ 「起き上がったら、美味しい朝食が食べられるぞ(やったー!)」
「起き上がったら、ラジオが聞けるぞ!(やったー!)」
「歯をみがかなきゃ(虫歯になっちゃう)」
⇒「歯をみがいたら歯がきれいになるぞ(やったー!)」
「歯をみがいたら、美人になっちゃうぞ(やったー!)」
「病院にいかなきゃ(治療しないと良くならない)」
⇒「病院に行くと、病がどんどん良くなるぞ(やったー!)」
「病院に行くと、○○さんに会えるぞ(やったー!)」
「感謝しなきゃ(治らない)」
⇒「感謝すると、気分が良くなるぞ(やったー!)」
「良い方にとらえなきゃ(マイナスを引き寄せちゃう)」
⇒「良い方にとらえると、幸福ホルモンがでるぞ(やったー!)」
などなど。
コツは、何か行為を行うごとに気が付いたら取り組むことです。
そして、
「○○しなきゃ」と、ネガティブ回路を回していることに気がつくことができたら、
絶対に「ああ、またネガティブ回路を回してしまった」と自分を責めるのはやめて、
「やったー!また、ポジティブ回路を回せるチャンスだぞ!」と楽しみましょう。
すべての行為はポジティブ回路を回すネタになりますので、脳トレのつもりで取り
組みましょう!
筋トレと同じように、初めはなかなか上手くできずに、疲れも感じるかもしれません。
「ポジティブ回路を回さなきゃ」
⇒「ポジティブ回路を回すと痛みから解放されるぞ(やったー!)」
繰り返し行うことで、わずかづつでも幸福ホルモンが出るたびに、
確実に心も体も軽くなっていきます!
治療の効果をあげる準備としても、非常に有効です。
チリも積もれば山になる。
ぜひ、一緒に取り組んでまいりましょう!
(参考資料)
日本遠絡統合医学会2020年度学術研修会
学術講演「帯状疱疹後神経痛」第3章 治療法-2(情動系) 小泉正弘医師
坂庭鳳著『1回10秒 健康オタクが辿り着いた世界一シンプルで簡単な健康法』セルバ出版