小泉医院遠絡医療センター ブログ

医療法人財団 東西医会 草加整形外科内科&小泉医院 遠絡統合医療センターからの情報発信です☆

「線維筋痛症(せんいきんつうしょう)は一生治りませんよね?」 そんなことはありません!!

線維筋痛症(せんいきんつうしょう)とは、原因不明の全身の疼痛に加え、しばしば不眠、うつ病などの精神症状、過敏性腸症候群逆流性食道炎・過活動性膀胱などの自律神経系の症状を伴い、中高年の女性に多く発症します。

 

当院で対応している患者様の1割程度が線維筋痛症の患者様です。

 

今日、ある線維筋痛症の患者様(53歳 女性)から遠絡療法の施術中に質問を受けました。仮にYさんとさせていただきます。今日で当院での治療を開始して約半年、治療は21回目、痛みは改善している部分とまだ残っている部分があります。リリカはまだかなりの量を服用中です。

 

(Yさん)

線維筋痛症は一生治らない病気ですよね?私はいつまで通えば良いのでしょう?」

 

心の中で、、、(「一生治らない!?」なぜそんなふうに思うのだろう?)

聞けば、もともと通院しているペインクリニックで薬の処方を継続して受けておられるのですが、そちらの先生に「一生付き合っていくもの」と言われているそうです。

 

「一生付き合っていく、、、。」それならば、その先生のおっしゃっている意味がわかります。

 

線維筋痛症などの「慢性痛(まんせいつう)」は悪化させないように自分でマネージメントをしていくことが大切と言われているからです。一度、痛みが改善しても、またストレスにさられたり歳を重ねることで再発する可能性は大いにあります。

 

遠絡療法の施術をしながら、こんな会話をさせていただきました。

 

「Yさんには、痛みの感受性がするどい、痛みの刺激に繊細という脳の特性があるかもしれません。それは、Yさんのもともとの個性かもしれませんし、なんらかの原因で脳の痛みを抑える働きが弱まっているかもしれないです。それは、ストレスや疲れ、私達でいえばちょうど更年期の時期でもありますからホルモンの乱れの影響など色々な原因が足し算で積み重なってそうなっている。であれば、原因となっている要因をひとつずつ外していけば、また脳の痛みを抑える力がしっかり働いてくれるはずです。」

 

(Yさん)

「じゃあ、私だったら3人の息子の受験や就職活動の心配のストレスがなくなったり、更年期が終わったら、あっさり良くなるかもしれませんね!(笑顔)」

 

「本当にそうかもしれません。でも、息子さんたちの世話で気がまぎれて痛みに取り込まれないで済んでいる部分もあるかもしれません。

『注目するものは拡大していく』という言葉があります。脳は、注意を向ければ向けるほど、その回路が強まっていくということがあります。

更年期や子育てのストレスが無くなった時に、痛みの回路が強くなりすぎていないように、日頃から客観視して痛みの虜にならないよう準備をすすめるのが大切かもしれないですね。」

 

(Yさん)

「ホームページにのっている方は、まだ通っていらっしゃるのですか?」

 

「もう、卒業されていますよ!お一人は、自信がないからとメンテナンスでしばらく1ヶ月に1回程度通っていましたが、いつの間にか卒業されました。もう一人の男性も、階段の上り下りも痛くてぎくしゃくしてロボットのようでしたが、だいぶ痛みが良くなって足利市から大手町までの通勤も楽にできるようになり、本当に晴れ晴れしたお顔で終了されていきました。全く痛みがゼロになった訳ではないかもしれませんが、自分で対処できる自信ができたみたいでした。」

 

(Yさん)

「私はまだリリカも多く飲んでいるので、いつまで通ったら良いのか先が見えないような気がして」

 

「今、Yさんは、だいぶ痛みが改善してきている部分もありますし、これがまた悪くならないように、不安やストレスに上手に対処していくセルフケアやマネージメントがしっかりできる状態になれば、治療の間隔も空けていけると思います。次回、遠絡を始める前の状態と、現在までに良くなったところ、まだ気になるところ、どういう風になれば自分で卒業と思えるか、など書いてきていただけますか?一緒に、目標を相談していきましょう。」

 

ここまでで今日の遠絡療法の施術も終了。施術前に特に強く訴えていた左首から肩の痛みは改善。右の首すじには少々痛みが残りましたが施術前よりは良いということでした。

 

線維筋痛症にかぎらず「慢性痛」の状態は「急性痛」とは違っていて、痛みの原因が改善もしくは無くても「脳の誤作動」により痛みのサイレンが止まらない状態と言われます。しかし、人間の脳には「可塑性(かそせい)」といってまた元の状態に戻る力があります。

 

遠絡療法で「痛みの回路」をブロックしながら「痛みを抑える機能」をどんどん強めていけば、きっと大きなストレスにも対応できる力が育つと思います。

 

レディー・ガガも、線維筋痛症の病名を公表してからも活躍なさっていますよね!

 

「痛みさえなければ」から「痛みがあっても」生きる喜びを感じ取れる瞬間を

どんどん増やしていくためのお手伝いができればと思います。

そうすれば、きっと「治った」と思える日がやってきます!

 

一緒にがんばりましょう! ^^

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文中の栃木県足利市から通院・卒業された男性の痛みスケールの変化