三寒四温、梅も咲きほこり春の訪れも近いと思いきや、寒風に身がすくむ昨日今日、
皆様いかがお過ごしでしょうか?
遠絡療法指導治療師の堂下です。
第53回日本慢性疼痛学会に「神経障害性疼痛に対する遠絡療法の治療効果」について 症例報告をして参りましたので、ご報告させていただきます。
症例は「鎖骨骨折・固定手術後」に神経障害性疼痛を発症され、2年半苦しんでこられた50代男性患者様で、遠絡療法で3カ月治療させていただいた経験です。特に今回、当院を受診されたきっかけには、鎖骨を再骨折され再手術に伴い、鎖骨周辺の痛みが再燃し、その部分の神経の除圧のために行った第1肋骨や斜角筋という首の筋肉の切離手術のあとに発症した「上腕の灼熱痛(しゃくねつつう)」がありました。
神経障害性疼痛というのは、その部位の神経が外傷などにより損傷を受け発症する末梢性の問題と、脳や脊髄からの「痛みの感受性を抑える力」が低下して起こる中枢性の問題の両方が絡む場合が多く、この方は中枢性の問題がより大きいタイプの方でした。
末梢部分であれ、中枢部であれ、神経線維の障害範囲が大きいと、いくら中枢に効果的といわれる鎮痛薬や、交感神経を抑制する星状神経節ブロックなどの注射を行っても一時的で、根本解決には至らない場合が多々あります。特に「中枢性感作」という病態が持続している症状を改善するのは、西洋医学的にはとても難しいと言われています。
それが、当院で提供している「遠絡統合療法(遠絡療法 えんらくりょうほう)」では、その神経線維の修復を促進する自然治癒力の流れ
(個人的には、生物に備わっている組織修復を促進する微少電流の流れではないかと思っています)
を促進し、同時に神経の過剰興奮を鎮静し鎮痛と修復を同時並行的にすすめることで、「中枢性感作」の病態のものを根本解決に導いていくことが可能です。
この患者様も上腕の灼熱痛は、週1回、3ヶ月で痛みの自己評価は、10段階で8だったものが0になりました。「バーナーで炙られたような痛み」だったものが「触っても違和感もない」状態まで回復されています。
また、もともとの鎖骨部周辺のビリビリ・チクチク・しびれるような痛みや刺し込み痛がありましたが、こちらも10段階8の「しびれ、痛み」だったものが、現在は5〜6の「かゆみ」に変わってきています。
神経障害の痛みが回復する過程で「かゆみ」に変化するのは、ときどきみられる現象で、確実に回復に向かわれています。
自由診療という足かせのため、まだまだ多くの患者様に提供するのが難しい現状がありますが、その分おひとりおひとりにしっかり時間をとって、双方ともに患者様のお体の状況に対する理解を深めながら治療を提供できるというメリットもあります。
病の深さにより、回復までの道のりには個々ありますが、これからも少しも多くの患者様にお役立てていただけばと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
春はもうすぐそこです。どうぞ温かくすごして、ご自愛くださいませ。ご報告まで
堂下拝 ^^