小泉医院遠絡医療センター ブログ

医療法人財団 東西医会 小泉医院 遠絡統合医療センターからの情報発信です☆

帯状疱疹の予防について

ここ数年、「帯状疱疹」と「帯状疱疹後神経痛(PHN)」のお問い合わせや来院される患者さまがとても増えています。そこで今回は帯状疱疹の予防法をまとめたいと思います。

 

・・・その前に、3分でわかる帯状疱疹帯状疱疹後神経痛について予習です。

 

 

・原因は、神経節に潜んでいる「水痘・帯状疱疹ウイルス」(水ぼうそうのウイルス)です

・ご自身の免疫力や体力が下がった時に、ウイルスが活性化すると帯状疱疹を発症します

帯状疱疹は、水ぼうそうにかかったことがある人全員に発症リスクがあります

・その人数は、日本人成人全体の約90%にのぼります

・発症率は50歳を超えると急激に上がります

・80歳までに約3人に1人が発症するというデータがあります

帯状疱疹の症状は主に発疹や水ぶくれで生じる痛みやかゆみ、違和感です

帯状疱疹の治療は抗ウイルス薬、痛み止め、外用薬などです

帯状疱疹の「痛みの種類」は侵害受容性疼痛です

帯状疱疹はだいたい3週間くらいで治りますが、中には長引く方もいます

・皮膚の状態が治っても痛みが3か月以上続く場合を帯状疱疹後神経痛と呼びます

50歳以上で帯状疱疹を発症した方のうち約20%が帯状疱疹後神経痛に移行します

帯状疱疹後神経痛の「痛みの種類」は神経障害性疼痛で、痛み方に特徴があります。

「焼けるような」「針を刺すような」「電気が走るような」痛みがあります

・触れる.押すなどの感覚刺激が痛みに変わる「ロディニア(異痛症)」があります

帯状疱疹後神経痛の治療は、神経障害性疼痛に適応がある内服薬が処方されます

帯状疱疹後神経痛は治療が長引くことが多いです

 

 

いかがですか?3分で読めましたか?原因、症状、治療については、また詳しく書いてみようと思います。

 

さて、本日の本題「帯状疱疹の予防」についてです。予習を読んでて多くの方が思ったと思いますが、

「かかりたくないですよね、帯状疱疹!」

成人人口の約9割に発症リスクがあるといわれていますので、しっかり予防して生涯発症しない1割に入りましょう。

 

予防法は大きく分けて二つです。まずは「健康な体づくり」です。

帯状疱疹疲労やストレス、加齢などで免疫機能が下がってしまった時に、水痘・帯状疱疹ウイルスが活性化すると発症に至ります。・・・ここ数年、コロナ禍による生活・経済・社会情勢の変化で、私たちは知らず知らずのうちにストレスを受けています。そんな中やはり大事なのは日常生活の管理です。食事や睡眠、適度な運動など規則正しい生活を送り免疫機能の維持を心掛けましょう。また、疲れた時やイライラした時は十分に休息をとって免疫機能が下がらないように注意しましょう。(帯状疱疹に限らず、免疫機能を維持することはとても大切なことですので心掛けましょう)

 

食事いろんな栄養素をバランスよく摂り、よく噛んで食べましょう

運動→散歩やウォーキングなど軽く汗ばむ程度の運動を取り入れましょう

睡眠→からだや脳の休息、回復、免疫機能維持など、大切な働きがあります

    早寝早起きを心がけましょう

    

(補足)「子牛流注(しごるちゅう)※東洋医学の考え方の一つ」によれば、23時から深夜3時の間は、新陳代謝が盛んになり成長ホルモンが分泌されたり、解毒・排毒・老廃物処理をして血液をきれいにする時間帯と言われています。この時間帯にしっかり睡眠をとることを意識することが大切です。

 

 

もう一つの予防法は最近CMなどでもよく流れている「帯状疱疹ワクチン」です。

 

よく「50歳を超えたら受けましょう!」といわれていますが、これは予習でも書いた通り①50歳を超えると発症率が急激に上がる、②帯状疱疹を発症した50歳以上の方のうち約20%が帯状疱疹後神経痛に移行すること、の2点が理由です。

 

現在、帯状疱疹ワクチンは二種類あります。ひとつは1986年に承認された生ワクチン[ビケン]、もう一つは2018年に承認された不活化ワクチン[シングリックス]です。接種回数や対象者、効果(期間)、費用などに違いがありますので、どちらを選ぶかは担当医師にご相談ください。

 

・・・当院には帯状疱疹帯状疱疹後神経痛の痛みで治療に来られる患者さまがたくさんいらっしゃいます。そんな患者さまからよく聞かれるのが「帯状疱疹にかかった後、ワクチンを打っていいの?」という質問です。結論からいいますと「接種しても大丈夫」です。ただ発症後は体の中に抗体ができるので発症しにくい時期があります。一生涯で複数回帯状疱疹を発症する確率は免疫機能が正常な方(※注)で数%です。また発症後一年以内の再発は極めて稀といわれていますので、もし接種するのであれば1~2年経ってからでも良いかもしれません。(この期間は個人差がありますので、最終的には担当医師とご相談ください)

 

※注)免疫機能に異常がある方や、治療で免疫抑制剤や副腎皮質ホルモン(ステロイド)を使っている方は、健康な方より免疫が弱まっていますので、帯状疱疹を含む感染症にご注意ください。

 

というわけで、今回は帯状疱疹の予防法についてまとめてみました。規則正しい生活とワクチンを活用して、一生涯帯状疱疹を発症させないことを、もう発症したことがある方は再発しないことを目指しましょう。

 

当院のホームページの「PHN 帯状疱疹後神経痛」のページに、症例紹介を追加しました。下記リンクをご参照ください。

          帯状疱疹後神経痛(PHN)|小泉医院遠絡医療

 

                                                                                                  文責 加倉井正弘