小泉医院遠絡医療センター ブログ

医療法人財団 東西医会 草加整形外科内科&小泉医院 遠絡統合医療センターからの情報発信です☆

遠絡療法 脱線話

遠絡療法(遠絡統合療法)創始者、柯尚志ドクターは、台湾出身のとてもユニークな先生でした。柯先生のクリニックに、2007年から柯先生が亡くなる2016年まで治療師としてお世話になりました。

柯先生の遠絡療法の魅力は、勉強していた先生によって色々あると思いますが、私自身は、西洋医学東洋医学、両方に通底する目に見えないエネルギーの世界の法則を使って、再現性ある治療を誰でも行えるというところでした。

そのころ、ノーベル物理学賞南部陽一郎小林誠、益川俊英らが受賞し、量子物理学の世界から物事をとらえる概念が大きく紹介されるようになり、柯先生も遠絡医学を体系づける際には、古代中国の書物である「易経」と「アインシュタイン相対性理論」の発想の両方を統合しているとお話されていました。

最近は、仏教やキリスト教などを量子力学的視点から解釈して人生に生かしていこうという考えもたくさん紹介されていますが、当時はそこまでではなく、柯先生自身はキリスト教徒とおっしゃっていましたが、「九つの天の法則」(陰陽、相応、相対などなど9つの法則)と仏教的な視点からの話、この世のすべてに何度も現れてくる法則の話は、遠絡療法の技法や診断学的な理論と一緒に何度もセミナーで語られていました。

「太陽は見えているところにはない」

「解ったと思ったら、解っていない」

「見えているものは、みんな逆」

「医者になりたかったら(夢や目標を達成したかったら)、どうしたら良い?」

「もともとそう。もともとそう。もともとそう。」

まだまだたくさんの、奥深い言葉の数々。

どちらかというと、その脱線ともいえるような話がなぞなぞのようで、当時の自分にはとても面白かった。そういえば、少し前に宇宙の次元は9次元で考えると都合よく説明ができるとの理論が科学雑誌ニュートン」の特集に紹介されているのを見かけて、9という数字の一致を嬉しく感じたものです。(最近は、11次元とかも言われているようですが)

ついでに、最近、木内鶴彦さんという20代で腸閉塞で一度、心臓も脳波も止まり死亡宣告後30分経過してから息を吹き返し、公式に死亡後蘇生と記録されている人物の、臨死体験の話がユーチューブで紹介されていた。その中で、死亡中は意識が体を抜けて周囲の会話や意識を向けた人物のところに瞬間に移動する話、過去や未来に行って宇宙の始まりも見てきたという体験が紹介されていたのだが、その体験による「宇宙はビックバンで生まれたのではなく、意識のスープにズレが生じやがて回転が始まりこの宇宙ができあがっていった」というくだりを聞いて、

「これは、柯先生が言っていた生命、宇宙の始まりと同じだな」と感じました。

柯先生は、遠絡八卦図というものを使って、生命の始まりなどを説明してくれていて、その遠絡八卦図を「私の命そのもの」とまでおっしゃっていた。

正直、いまだに私には、その遠絡八卦図の使い方などは良くわからないし、今はもうそこに対する興味はほとんど無くなったのだが、その図の形はキリスト教や神秘学に出てくる生命の樹の図を、もっと立体的に表した図にも見えます。

実は、柯尚志先生ご自身も、生体肝移植の手術を受けた際に、全身麻酔を受けて寝ているはずの体から意識が抜けて、手術をする医師達の会話を聞いたり見たりした記憶を語ってくれていた。臨死体験ではないけれど、とても近い状態だったのではないかと思う。

もともと、遠絡療法も頭で考えたのではなくて、数日のうちに頭にダウンロードされるようにその中核となる考えが降りてきて、夢中で書きだしていったというような感じでおっしゃっていたし、きっと、目に見えるものの中に存在する見えない流れの法則を調整できることこそ遠絡の魅力なんだと、何度でも同じ結論に達する私です。

11月には(一社)日本遠絡統合医学会の総会があります。同じ面白さを感じて下さっていた先生方とお話できるのを、楽しみにしております。

 

         

            (遠絡八卦図)          文責 堂下佐知子

                             



「笑ってますか? 痛くても。痛いからこそ。」(慢性疼痛に伴う不健康な思考パターンへの対処法)

 

最近、笑っていますか?

      

        

 

「目覚めとともにやってくるあの感覚

ずきずき、びりびり、がんがん、、、

ぐっと歯を食いしばり

息をとめる

あまりの激痛にマンションのベランダから飛び降りようと思う

でも家族に迷惑をかけると思い、ぐっとこらえる

気を紛らわそうと思っても、痛くて何もやる気がおきない

 

頭では、理解している

慢性疼痛は脳の誤作動 

 

痛みやしびれ 脳の注意を向ければむけるほど

さらにアンテナが立って強まってしまうと言われた

 

感謝の心でセロトニンを出しやすくするよう言われた

 

でも、他に注意を向けていこう 切り替えよう

今ある幸せに感謝しよう と思っても

とにかく痛くて できない できない、、、

 

このつらさ、誰もわかってはくれない、死にたい

 

ああ そうやって すぐネガティブになる

だから 痛みも改善しない 私はダメな人間だ

 

少しでも、やるべきことをやらなければ、、、」

 

こんなふうに一人で落ち込んでいませんか?

 

現状を痛いか痛くないかの「黒か白」でしか

捉えられなくなる破局思考や、

同じような考え事が繰り返していまう反芻(はんすう)思考

どんどん将来への不安や心配が拡大していまう拡大思考

これらは慢性疼痛の方に多くみられる思考パターンで、

ご症状のひとつと言っても良い状態です。

 

対処法は、

このような思考にハマっている自分、

落ち込んでいる自分に気が付いたら

 

すかさず

1、そんな自分を 受入れ、許し、自愛のことばをかける

 

「痛い中で、こんなにもがんばっている自分 えらいよ!」

「痛みのない人をうらやましく思う自分 も ありだよ!」

「痛みをわかってくれない家族や周囲に怒りを感じるのなんて、ふつう」

「すぐ死にたくなる 不幸を数えてしまうのも 

症状のひとつで仕方ない。本当に良くやっている、すごい!」

「なんてだめなんだろう、がんばらねば、と、自分を鞭打ったり

責めてしまう自分も、今まではそれしかやりようがなかった。

いいんだよ~」etc...........

 

 

2 さらに自分に感謝のことばをかける

 

「そんな自分を 受入れ ゆるし 愛するよ(大切にするよ)。

私だけは(俺だけは)いつも味方だよ!

私が(俺が)ついているからね!大丈夫。

いつもがんばってくれて ありがとう! 

 

そう自分自身の心と体に労りと感謝の言葉をかけます。

(小さくつぶやく、または心の中でもOK!)

 

そして、痛みや症状はそのまま、

少しでも自分が喜びそうなこと、

笑顔になれそうなこと、

自分を大切にできそうなことに 取り組みます。

(ごく小さなことからでOK!)

 

自分を楽しませること

できるだけ心がけてみてください。

 

しなくて良いことは無理にやらない。

しっかり甘やかしてあげて下さい。

 

千里の道も一歩から。

 

すぐにはわからなくても、

少しづつ慢性疼痛による

不健康な思考パターンを手放しやすくなり

症状にも変化が現れます。

 

にっこり 笑うことができれば

脳の痛みを抑える力も働きやすくなります。

 

これも、練習が必要です。

 

まずは、ラジオの面白エピソードを紹介した

こんな動画あたりからはいかがでしょうか。

【作業用・睡眠用】ベスト・オブ・傑作選 2022 - YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=0iKiPk_0SXI

 

継続することで必ず変化していきます。

 

一緒に取り組み続けていきましょう ^^ 

   

 

        文責 堂下

 

 

 

アロディニア(異痛症)の症例について学会報告してきました☆

6月17日(土)栃木県宇都宮市で開催された「日本レーザー治療学会 学術研修会」一般演題のパートにて、『遠絡統合療法において半導体レーザーを使用するメリットの報告 〜アロディニアの症例を通して〜』を学会報告して参りました。

 

ロディニア(異痛症)は、衣服が触れたり、風があたったりなどの軽い触覚刺激でも脳が痛覚刺激として認識してしまう状態でCRPSや帯状疱疹後神経痛視床痛などで良くみられる症状です。触ると痛みが悪化してしまうため、治療にも工夫が必要となります。

 

今回報告したのは、コロナワクチン接種後に両上肢に発症したアロディニアと全身の痛みの患者様(17歳 女性)の症例です。2021年10月発症時は15歳でした。

 

特に左上肢はとても重度のアロディニアで、痛みのために肘、手、手指が硬直して全く動かず、右手も介護用の太い柄のスプーンでやっと食事ができるような状況でした。大学病院で服薬、リハビリ、認知行動療法など行いましたが効果がなく「もう、治療法はない。」と言われ、12月末に岐阜県から新幹線に乗って車椅子で当院を受診されました。 

小泉医師が診察、遠絡統合療法を実施し、初回の治療直後に体や痛みが軽くなる手応えがあり、その後はビジネスホテルに宿泊して月に2〜6回の治療を継続。2023年6月現在、右手は鉛筆で筆記をしたり軽いものは持てるようになり、硬直していた左手でも物にふれたり頭をさわれるようになり、休学していた高校にも部分的に復帰ができるほど回復されてきました。

 

両手にアロディニアのご症状がある場合は、通常の押し棒で行う遠絡治療ができません。その場合は、少しパワーが落ちますが、治療用半導体レーザー光を使用することで、安全、安心に治療を進めることが出来ます。そのようにして、これまでに何人もの方がアロディニアのご症状が完解されています。

 

CRPSや線維筋痛症などでアロディニアのご症状があり押し棒などの治療が不安な方も、どうぞご心配されずにご相談下さい。(文責 堂下)

 

            

       

 

 

 

 

自律神経を整えるセルフケア(小泉医院式呼吸法)

5月だというのに強い陽射しで気温が30℃を越えたと思えば

翌日には最高気温も10℃台と急降下かつ湿度が高い、など

目まぐるしく変わる天気が続き、

自律神経も大きく揺らされています。

 

普段はお元気な方も、

だるさやめまい、肩こりや腰痛、気持ちの落ち込みなど

普段は抑えていられるご症状が出て来てしまっている方も多いのではないでしょうか?

 

そんな時におすすめしたいのが小泉医院式呼吸法です。

遠絡統合療法創始者の柯尚志医師が開発された生流術の呼吸法を一部取り入れて、取り組みやすくアレンジしたものです。

 

椅子に座って背筋をのばし、軽くあごを引きます。

 

まずは「第一ステップ 腹式呼吸

下っ腹を凹ましながら息を吐き

すべての息を吐き切ったあとに

今度は鼻から吸いながらお腹に息を入れます。

詳しくは下記、(1)~(4)をご参照ください。

 

      

                 

               

(1)お腹に手をあてて、下っ腹を凹ませながら

   「はー」と口からはく

(2)続けて、さらにお腹を凹ませながら

   「ふー」と口からはく

(3)さらにお腹を凹ませ続けながら、上下の歯を合わせてその隙間から

  「すー」と息を吐き続ける

(4)限界まで息を吐ききったら、鼻から下っ腹に息を大きく吸う。

 下っ腹が大きくふくらみます。

 この時に、空気は鼻から吸いますが、エネルギーがへその裏側の腰からお腹に貯まっていくイメージを持つと効果的です。

 

(1)~(4)を3回繰り返します。

すると、腰や下っ腹が温かくなるのがわかります。

わからない方は、もう1~2回追加でやってみましょう!

 

内臓が刺激され溜まっていた静脈血が肺に戻り、新しい動脈血が内臓や腰回りの筋肉に行きわたります。これだけでも気持ちも安定してきます。

 

さらに効果を高めたい方は「第2ステップ 腹圧呼吸」

今度はお腹をふくらませたまま、同じ呼吸を行います。

(こちらは、少し力を抜いて6割くらいの軽い力加減で行って下さい)

    

(1)まず、鼻から息を吸ってお腹をふくらませます。

今度はお腹を凹ませず、ふくらませたまま

口から息を吐いて「はー」「ふー」「すー」を行います。

 

お腹はふくらませ続けながら、また鼻から息を吸います。

そしてお腹をふくらませ続けながら「はー」「ふー」「すー」

 

お腹だけでなく、後ろの腰側もふくらますつもりで行いましょう。

6割くらいの力加減で3回ぐらい行なったら、ふつうの呼吸に戻りましょう。

がんばりすぎるとクラっとしてしまいますので、

こちらの呼吸は弛めで大丈夫です。

 

今度は、首の後ろや背中の上の方が

温かく感じられると思います。

 

体のどこが温かくなったところをゆっくり感じて味わってみてください。

 

腹圧呼吸は、横隔膜をきたえ自律神経の安定化にさらに役立つ呼吸法です。

 

連続で何度も行うよりも、「腹式呼吸」3回「腹圧呼吸」3回を1セットとして

朝、昼、晩など気が付いたときに、こまめに行っていただく方が良いでしょう。

ぜひ取り組んでみてくださいね!

 

それでも体調がいまひとつ戻らない場合には、当院で提供している「遠絡療法」をお勧めします。

自律神経の中枢のある視床下部などの流れを良くすることで、その場で体全体が軽くなりご症状も落ち着きます。

 

今日も、脳血管障害後遺症で左上下肢しびれ痛みの患者様ですが、いつも以上に左側の首や腰の痛みが強まっておられたのが、治療後は大変調子が良くなられたとわざわざ帰宅後にお電話をいただきました。(ありがとうございます ^^)

 

まずはご自身でケアをしていただきながら、どうしてもつらさが続く時には、

早めにご連絡いただければと思います。

 

お役にたてますように。

                          文責 堂下

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

夢への第一歩 #線維筋痛症

今年の春、夢への第一歩を踏み出した患者さまのお話です。

 

初診当時、中学2年生だったSさん。もともと「眼の奥の激痛」や「まぶたの痙攣」「視覚異常(床や壁がボコボコ見える)」など、様々な症状があり、学校へ行くこともできない状態でした。

2021年3月、きっかけなく左手の甲に腫れが現れ、当時通院していた神経内科や眼科で検査したものの異常が見つからず、同年7月に小泉医院を受診されました。

診察の結果「線維筋痛症」と診断、遠絡療法を始めました。まぶたの痙攣は治療6回目には現れなくなり、その他の症状も治療を重ねるごとに消えていきました。

治療10回目(治療開始2か月後)には中学校の協力を得て金曜日と土曜日の二日間、3時間から授業にでるようになり、その後は登校できる日が増えて丸一日いても平気になるまで回復されました。また運動会やマラソン大会にも参加できるようになりました。

将来の夢は「デザイナー」というSさんは、努力が実って中学卒業後「服飾デザイン」の学校へ進学されました。今はメンテナンス目的で3週間に1回のペースで治療を受けられています。症状も落ち着いており、学校にも楽しく通学されているそうです。夢への大きな一歩を踏み出したSさん、今後も治療を通じて応援して参ります。

 

☆小泉医院遠絡医療センター(埼玉県草加市)では、「難治性の痛み・しびれ」や「原因不明の痛み・しびれ」を中心に様々な症状に対応する“遠絡療法”をご案内しております。一般的な治療でなかなか改善されない方や、病名は付いたものの良い治療法が見つからずお困りの方、お気軽にご相談ください。

 

☆公式LINEアカウント こちらよりご登録ください。

 

文責:加倉井

 

ご自身で通路を開いていただくために(MBS統合メソッド)

本日は、カウセリングプログラム(MBS統合メソッド)での経験を

ご紹介します。

 
患者様(Mさん)のテーマは「足の痛み」
本日、2回目のセッションでした。
 
初回のセッションでは
「足の痛み」を強めている「アクセルとなっている感情の詰り」が
どこにあるのかを探し、
その出来事での感情を特定していくということを行いました。
 
感情は「悲しみと絶望」
出来事は、足の痛みとは全く関係ないようなものでした。
 
2回目の今日は、その出来事での感情を開放すると共に、
その経験が何をもたらしてくれているのかを、
これまでと違う視点から、ご自身で深堀りしていっていただくという作業の
前半を行いました。
 
そして、メソッドの質問を一緒にやり取りしていく中で、患者様から
 
「私はずっと若い頃から、正しいとか間違いとかを追求して
白黒はっきりさせたい方だったんです。
それが当たり前だと思って過ごしてきました。
その出来事からは、世の中、グレーでぼやかしていた方が丸く収まるというか、
そういったことを学んだんです。」
 
そして約90分のやりとりを行った最終盤で、ふいにMさんが、
 
「黒でも白でもない違う色を探すってことかな~。」
 
とおっしゃったその言葉を聞いた瞬間、
Mさんご自身が、ご自分の言葉としてそれを見出されたことに、
私は、とても感動してしまいました。
 
「黒でも白でも、そしてグレーでもない、違う色。
それを見いだしていくこと。それが大事。」
 
そして、それは私自身にとっても、とても大切なメッセージのように
聞こえました。
 
まだセオリーの途中ですが、患者様とたどる旅路は
カウンセリングを行う側の旅路でもあるとつくづく感じています。
 
旅路の中で、
閉まっていた窓がパタンと開いて通路が開けば開くほど、
心が自由になって治癒力が通って行くのだと思います。
 
当院では、遠絡統合療法で患者様の「ライフフロー」(生体の流れ)を改善し、
治癒力の向上を後押ししながら、
その治癒力の発揮を阻んでいる心理的要因がある場合には、
MBS統合メソッド」を使ったカウンセリングプログラムにて
対応しています。
 
心の問題が体に影響しているとご自覚ある場合(ない場合も)
ぜひ一度、ご相談下さい。
                            文責 堂下

             

CRPSをのりこえて 

「今朝、ダメ元で受験した目標の大学への合格がわかったんです。」

「ネットで確認して、自分のメールとパスワードだから、たぶん本当なんだけど、まだ信じられない気持ちでいっぱいなんですけど。」

昨日、久しぶりに愛知県から治療に来られた20歳のお嬢さんに、そんな嬉しい報告をいただき、しみじみそのお嬢さんのカルテを見直してみました。                    

                       

2018年8月 16歳で突然右肘関節内側の痛み。翌日には肘〜前腕〜手指まで膨張。

整形外科のMRIなどの検査では異常がみつからず。9月には右上肢全体がむくみ、赤黒く変色。肘〜腕のしぼられるような締め付け感。肘を伸ばした状態で硬直し、全く曲げらず、CRPSの診断。さらに11月からは、吐き気、頭痛。側頭部は触れただけでも痛み、

洗髪も困難。CRPSが頭部にも拡大した状況となり、学校も休学へ。                        

                                                                                         

整形外科、神経内科、ペインクリニック、大学病院で、様々な薬の処方など試しながら、同年11月より、地元の遠絡療法を専門とする治療院にて治療を開始。

翌年2019年3月。その治療院の先生から小泉正弘医師に紹介があり当院を受診。

小泉医師の診断、遠絡処方のもと、遠絡統合療法による治療を実施。初日の治療では、変化が明確ではありませんでしたが、2回目の治療後には、その場で肘の曲げ伸ばしが行いやすくなり、3回目の治療直後には10段階の痛み評価で頭痛の9の痛みが4へ、右腕から手の7の痛みが3へ軽減することを確認しました。

              

それから、その地元の遠絡認定治療師の先生と、当院と、また大学病院の痛み外来の先生方と共に、息の長い取り組みとなりました。

 

3ヶ月後の6月には、当初はあった手の不随意運動がなくなり、右手で鉛筆をもったり、洗濯たたみに取り組む、右手ではしを使い口元まで食事を運ぶなどができるようになり、1日2〜3時間の登校も再開。それでも続く右上肢の痛みや頭痛と付き合いながら、治療も続けながら、合計4年かけて高校を卒業。

「最初の学年の友達と一緒に学年をあがっていきたかったし、年下の中に一人で入っていくのは,正直きつかった。」

「それでも、あとから同じ学年の友達と留年した学年での友達と、友達が2倍になって良かったと思った。」

試験の時期、体育の授業、修学旅行、部活など、キツさと共にではありつつも高校生活を精一杯楽しみ、無事に卒業。さらに1年浪人して、2023年3月17日、20歳の春の快挙でした。

昨年の秋は、「もう、右手は負担をかけなければほとんど痛みはないけれど、頭が痛くて勉強に集中がしにくい。あと受験まで少しと思うとストレスで予備校に行けなくなり、家に引き返してしまうこともある。」そんなふうに、下を向いていたこともあった彼女でした。

心身ともに相当にきつい試練の時期を、何度も何度も乗り越えて、本当に良くがんばりました。

 

「大阪に一人暮らしになります。キャンパスライフを楽しむつもりです。」

 

まだ、不用意に腕や頭を押されたりすると強い痛みが出てしまう痛覚神経の敏感さを抱えつつの彼女ですが、これからも「それでも人生を信頼する」強い力が彼女を守っていくと思います。

 

CRPS(複合性局所疼痛症候群)は、打撲や捻挫、怪我などがきっかけで脳が誤作動を起こし痛みの悪循環を引き起こす難治性の疼痛症候群です。重度の場合は、治療も難しく時間がかかります。遠絡統合療法(遠絡療法)は、薬や神経ブロック注射、リハビリ、カウンセリング等の標準治療とともに、その「脳の誤作動」を鎮静化させ,、改善方向を後押しする東洋医学的な治療法です。多くの改善例を経験させていただいています。

 

もし、CRPSと診断されて不安になられている状況があっても、どうぞ焦らずに。

必ず自分で良くしていくという覚悟をもって、一緒にがんばっていきましょう。

 

           

                             文責 堂下